昭和からの記憶の旅

わたしが実際に生まれ育った昭和。冬は火鉢が当たり前。子供たちはどんな遊びをしていたのか。アイスクリームが十円だった時代から現在までを振り返ります

2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第16回 昔の写真の由来を記録する

わが家には終戦間近の家族写真が残っています。祖母と母と母の姉が二人、女ばかりの四人ですが、長女は一歳くらいの子供を抱いています。母が言うには、これは戦地に送るために撮ったそうです。 当時どこの家でもこのような家族写真を撮ったそうです。小学校…

第15回 昔は台所の水をどこへ流した

昔は家庭用の排水をどうしていたのでしょうか。身近すぎて即答しにくい問題だと思います。 ここでは農村部に限って、少々極端に言いますが、庭に流していました。もちろん端っこの方にですが、洗剤とか薬品などをあまり使わなかったので、問題なかったのです…

第14回 はしっこい人の世渡り記録

わたしの三人の伯父は戦時中それぞれの地に出征しました。そのうち二番目の伯父についての話です。 伯父は子供のときから、はしっこくて、或る才を秘めていたようです。 祖父が散財してお金が無くなってしまったとき、食べ物がないので、まだ幼かったわたし…

第13回  戦前の遺跡の残り方

わたしの家のすぐ近くに戦前は駅がありました。母は小学生の頃、東京の親戚へお使いに行くのに、一人で行かされたそうです。電車に乗れば、車掌さんがいるので、心配なかったようです。 隣駅の知り合いの家に遊びに行ったりして、案外身近に電車を使っていた…

第12回 なぜか復活 これ何語ですか

アニメといえば手塚治虫でしょ、と思われるでしょう。もちろんわたしも手塚アニメは目に残像が焼きつくほど見てきました。しかしアニメを見るだけのものではなく、遊び道具と考えてみると、事情が違ってきます。子供が遊ぶのには何が必要でしょうか。それは…

第11回 不安という化け物を感じた日

自転車に乗っている人がいます。いつものことなので彼は自転車で走っているけど倒れることを恐がってません。 ふと店のショーウインドウに、ガラス細工の高価な置物が目に付きました。彼はどうしても欲しくなり、その場で買いました。 それを自転車のカゴに…

第10回 忘れてしまった古い知り合い

わたしが生まれる前からメリーは我が家にいました。父がどこかでもらってきたのだそうです。小さくて茶色い体はわたしと大きさがあまり変わらなかったので、ぜんぜん恐くありませんでした。まだわたしが犬と人間の区別がはっきりつかないときからメリーはい…

第9回  折り紙は異次元への誘いです

わたしが幼稚園の授業で覚えているのは「折り紙」です。鶴を折ったのはもちろんでしたが、他にも鷲(ワシ)を折りました。鷲と言っても、二本足で立っている怪鳥みたいでしたが、なんだか気に入ってました。本物の鷲なんか図鑑でも見たかどうか怪しいのです…

第8回  スクールバスのある幼稚園なんて、かなり昔から普通だった

現在わたしの自宅のすぐ裏に保育園があります。しかしわたしの同級生でここに通った者はいません。当時はまだ開園していませんでした。 わたしの小学校の同級生で保育園出身者は少なかったです。たいていわたしの通っていたところか、スクールバスで送迎する…

第7回  男の子向けのアニメだったけど、女性が素敵でした

わたしが幼稚園に入園した年は、テレビアニメの放送が急激に増えた時期です。おそらく前年に東京五輪が開催された影響でしょう。ほとんどの家にテレビがあるようになり、子供たちは同じ番組を見て育つようになりました。そのため後々まで井戸端会議のように…

第6回  土葬から火葬へ。土から「かろうと」へ

わたしの祖父が亡くなったのは昭和32年で、土葬だったといいます。当時はまだ完全に火葬が定着していたわけではなかったようです。 現在では「かろうと」と呼ばれる石室があるのが普通ですが、昔は土の上に石碑があるだけでした。檀家であるわたしの家の寺で…

第5回  チャームポイントは偽エクボ

祖父の代に現在の地に移ってきたので、田畑を持っていませんでした。このため戦中は食べ物を自給できなくて、大変だったようです。しかも祖父は他人に気前が良すぎて、ジャンジャンおごって家に帰る前には給料袋を空にしてしまうような人だったので、勤め人…

第4回  パン食はカッコよくて、ピルマンは憧れだった

家がもともと長屋だったこともあってか、短期間ですが二世帯同居していたことがありました。廊下を歩いていくと、途中から別の家族がいたわけで、たまにはそちらへ行ったのでしょう。その光景をかすかに覚えてますが、当然のように向こうにも一家団欒があり…

第3回  だるまと大木

物心ついたころから、家のなかに「だるま」がありました。それがどういうものか教えられたわけではないのに、すごく怖いものだと感じ、いつも見張られているような気がして、いつ怒りだすのかと、ビクビクしてました。あの大きな顔というか頭なのか、威圧感…

第2回  納豆と生卵で 朝食でした

わたしが六歳まで住んでいたのは、元は長屋だったところです。そのころの食生活についてふれましょう。 毎日必ず納豆と生卵を食べていたような気がします。当時納豆は藁で包んであって、豆腐屋さんが売りに廻ってきてました。納豆を食べない地方もあるようで…

第1回  蓄音機の針はどんなもの? 釘みたいだよ

わたしが幼少期の記憶を遡っていくと、丸い円盤が木の箱の上でぐるぐる回っているのが見えてきます。けっこう速い回転です。虫がかすれた声で鳴いているみたいな音が聞こえます。 SP盤なんですね。戦前からあったレコードです。うっかり落とすと皿みたいに割…