第15回 昔は台所の水をどこへ流した
昔は家庭用の排水をどうしていたのでしょうか。身近すぎて即答しにくい問題だと思います。
ここでは農村部に限って、少々極端に言いますが、庭に流していました。もちろん端っこの方にですが、洗剤とか薬品などをあまり使わなかったので、問題なかったのです。
トイレはどうしていたのかというと、畑にまいたのです。こやしにしたんです。だから昔はサナダ虫が口から出てきたというのが、普通にあったんですね。野菜にギョウチュウの卵がついてたからです。
水路が自分の家の敷地の脇を通っていれば、ちょっと溝を掘るだけで流せますが、道を隔てた向こう側になると、土管工事が必要であり、そこまでするほどの事ではないというかんじでした。水路へ流さなければならないという感覚があまりなかったのです。
日本が復興してきて、道路が整備されるようになると、工事のついでに土管を入れるのが普通になってきました。
しかし官有地と民有地の境界が決着してない場所は工事ができません。そういうところは道端を個人で掘って水路へつなげることもありました。
わたしが幼少の頃、家の前にあった水路はまださほど汚れていなかったので、カエルやドジョウを取って遊んでました。フナやメダカもいました。コンクリートで固めていない、泥だけのものだったので、小さい川だと思ってました。
しかしいつのまにか水路はヘドロに侵されて、グレーの粘土を溶かしたみたいになってました。そしてU字溝で蓋をして、隠れました。
いまだに庭へ排水を流している家もあります。トイレの汚水も家庭用の浄化槽できれいになるから平気なんだそうですが、どんなものでしょうか。
田園風景は水源に近いところに広がっていて、農業用水が最初に通るので、綺麗な水が入ります。
しかし用水は、集落から離れているところを流れてるので、住居の前に田んぼがあるような風景は近所では少なくなりました。機械式井戸を使っていればできな くはないでしょうが、米作りは大変なので、畑にした家が多いです。おじいちゃんおばあちゃんが生きがいのためにやってたりします。
たいていは自分の家で食べるぶんを作るだけです。あとは誰かにあげるとか。うちはしょっちゅうもらっています。