第16回 昔の写真の由来を記録する
わが家には終戦間近の家族写真が残っています。祖母と母と母の姉が二人、女ばかりの四人ですが、長女は一歳くらいの子供を抱いています。母が言うには、これは戦地に送るために撮ったそうです。
当時どこの家でもこのような家族写真を撮ったそうです。小学校の校庭に地域の人が集まって、どういう関係の人か分かりませんが、ある人が撮ってくれたんだそうです。
大きさは、キャッシュカードくらいで、長い方の辺が少し短いです。小さいと言えば小さいけれど、時代を考えれば、上出来でしょう。
長女は夫が出征し、嫁ぎ先の義父が亡くなっていたので、実家に戻ってきていたということです。母と二番目の姉はワンピースを着ています。配給になった布 で、自分で縫ったと言ってます。ちょうちん袖というやつで、ウエスト上方から襟元までボタンも四つ付いてます。柄は青と黒の水玉模様だったそうです。
祖母と一番上の姉はモンペです。大人ですから。
なぜこのような写真がわが家に残っているのか、結局戦地へ送れなかったのか、長女の夫が無事帰還したので写真がこっちに戻ってきたのか、それとも二枚撮っ てもらったのか、すでに直接的な関係者が亡くなっているので分かりませんが、終戦間近でも写真撮影するだけの資材はあったようです。
昔の写真が残っていないか、おじいちゃんに聞くとか、田舎とか実家のアルバムとか調べてみましょう。そしてパソコンでスキャンして保存する。今はそれが可能な時代ですから。
それから写真の由来を聞いておく。これ大事ですよ。なんの写真か分からなくなる前に、記録しておきましょうね。
それからもうひとつ。母が覚えてるには、農家の家では、軍から反物を預かっていて、とにかく沢山の反物が部屋にあったということです。
軍と反物って、どういうふうに結びつくのかよく分からないのですが、反物に価値があったということはありそうです。その軍とは個人なのか、それとも組織なのか、今となっては知りようもありませんが、気になります。