昭和からの記憶の旅

わたしが実際に生まれ育った昭和。冬は火鉢が当たり前。子供たちはどんな遊びをしていたのか。アイスクリームが十円だった時代から現在までを振り返ります

第27回 魔法では家を造れません

 ビートルズが来日した1966年の12月から、魔法使いサリーの放送が始まりました。

 その頃ちょうど両親が家を新築したのですが、サリーちゃんがオープニングでするように、木の切り株から家を造ってしまうわけにはいきませんでした。魔法が使えないので近所の大工さんに頼みました。それまで住んでいた長屋の裏に建てました。法律的に土地の所有が完全ではなかったのですが、ずっと後になってからの手続きですみました。

 まだ柱で骨組みを建てただけのとき、わたしは物珍しさに、子供ながら探索したものです。はっきり覚えているのは、トイレになった場所です。下がコンクリートで固められているのが印象的でした。

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 コンクリート部分から外への出口を作り、畑へ流して肥やしにすることも可能でしょう。(西洋のどこかの国がそうしてるのをテレビで見たことがある)。家と畑に高低をつければいいわけです。秘境で自給自足生活をしなければならないときは役にたちそうです。環境面での問題があると思うので、あくまでもサバイバルとして考えてください。以上が汲み取り式トイレの構造でした。

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 昼間は大工さんが仕事をしてるので、夕方誰もいなくなってからわたしは裏へ行って遊んでました。柱の骨組みだけの白っぽい状態がなぜか鮮烈に記憶に焼きついていて、あれが本当の姿なんだという感じです。

 気が付いたら壁ができて屋根ができて家は完成して、すぐ裏なんですが、わが家は引越したわけです。子供だから事情がよく分からないので、とくになにも感じなかったと思います。

 でもあの骨組みの状態のときに、中に入って、不思議な空間の広がりに戯れたのが、ふつうの家になってしまったときは、なんだかちょっとアレ?と思いました。魔法が覚めたみたいでした。